ターフ
歌集
さびしいと詠ふこと今日はあきらめて明日の分の腹筋をせり
うまく表現にならないさびしさを、身体を動かしてやりすごすのが小林さんらしいが、やりすごしたあとに、読者がそこはかとないさびしさの中に取り残される。というよりも、実は作者のなかにも、やりすごすことのできないものは残るものだ。
産みし子が遠くの街ではたちになる今日をたのしむビール冷やして
息子、夫、離れ住む自分の両親や弟を想う作品は、さびしさを伴いながら、あたたかい。
解決のつかないことは多いけれど、それを受け入れてゆく。それはそれとして踏み出してゆく。この歌集を読むことによって、なにかそんな感じで心が開かれてゆくようだ。・・・真中朋久「跋」より
四六判上製
208ページ
2500円(税別)
ISBNコード
9784861984761