朝の光の中に
歌集
懐かしさと寂しさが入り混じったような不思議な世界を生み出す。現在と過去、記憶と現実が交差するような味わいと言ってもいい。
たんぽぽの綿毛を吹きぬ幾本もいくほんもふく闇が来るまで
単に日が暮れるまでというのとはちょっと違う。綿毛を吹き続けているうちに、どこか別の世界に入り込んでしまったような印象を受けるのだ。
さんしゆゆの紅実につもりし雪とけて朝の光の中にしたたる
この明るさは希望の象徴でもあるのだろう。作者も山茱萸の実も、朝の光の中に生き生きと輝いている。・・・松村正直「解説」より
四六判上製
180ページ
2500円(税別)
ISBNコード
9784861984990