鳥の緯度
句集
蝶生る闇にハサミを入れる時
白地図の白い山脈鳥帰る
蒲公英はすべての風に名を付ける
刺青もピアスも春の愁かな
大阪の黒鯛泥臭く古典好き
蠅と居て見て見ぬふりの上手くなり
おごそかな距離に並んで冷奴
魂のところが苦い干し鰯
美しき数列氷柱に芯はない
折皺の通りに畳む初あかり
北から南から鳥は日本に渡ってくる
赤い実を食べた鳥が私の荒地に種を落とした
種は俳句となって草花をさかせた
俳句の交わりから、詩のミューズから
到来した種が育って荒地は草原になった・・・「帯」より
四六判並製
176ページ
2600円(税別)
ISBNコード
9784861985133