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夜祭りのあと

雁部貞夫 歌集

ゆくりなく京都にて見し「御堂関白記」氏の長者も裏紙に書く
無口にて煙管(きせる)にタバコをふかしゐし酒灼けしたる祖父の面影
夜祭りの名残りの笛を吹く男ときどき「氷室」の酒をふくみて
この店に幾夜通ひし牧水か歌あり筆先(ひつせん)酔へるが如く
凡兆の古き碑見むと伝ひゆく切り崖の径脚(あし)わななきて
俎嵓の登攀を終へし写真一枚ベレーにパイプか気障だつた俺
卓の上に碧(みどり)の玉杯かがやけば山葡萄酒をなみなみと注ぐ
西洋の諺一つパッセパッサンティ過ぎゆくものはただ過ぎゆけと

元禄の蕉門の徒は「風狂」を自称した。幕末の詩人、頼山陽は「狂」を佯(よそ)おい出奔し、京洛の地で自由を得た。昭和の私は世に抗するに十五シーズンに及ぶ「ヒマラヤ行」を以ってした。これを人は風狂、佯狂の行ないと呼ぶに違いない。
八十代の半ばに達した今、私は各地の友とある時は苦吟を重ね、ある時は美酒を酌む。
飛騨高山での詠作が多いのは、その実例の一つである。・・・雁部貞夫「帯」より

A5判変型上製
210ページ
2500円(税別)

ISBNコード
9784861985393

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