向こう岸に
歌集
向こう岸に白き花咲く大樹あり確めたきも辿り着けない
「向こう岸」は彼岸か。此岸と彼岸は遠いようで近く、近いようで遠い。「大樹」は沙羅双樹か無憂樹か。「白き花」と目に映るものの、確信を得ない。「花」の正体はなにか。辿り着いて、もたらされるのは幸いか、災いか–孜々として歌作に取り組んできた作者の観照、それをのぞき見したかのように鼓動の速まりをおぼえる作品の数々。これから作者は何を目指し、何を捨てるのか。「歌集」という名の自画像は一首ごとに表情が変わり、詠(なが)めるものを戸惑わせるばかりである。・・・中本大「帯」より
A5判変型上製
166ページ
2500円(税別)
ISBNコード
9784861985546