緑を揺らす
歌集
母であること明日のこと忘れてチェロをただ弾く旋律となり
声よりもわがこゑであるチェロを容(い)れハードケースは背に平らなり
音楽もまた、この歌集の中では大きな題材になっている。そしてそれは、たんに題材というよりも、短歌と音楽が、それぞれから触発されているようなところもあるのではないかとも思う。歌も音楽も、身を削るような、自分の奥底を抉るようなところはある。壊れてしまわないように、さまざまな工夫をしながら、ある部分は慎重に、場合によっては勢いをつけて進んでゆくほかはない。そういったさまざまな営為も、演奏の、短歌作品の奥行や陰影をつくってゆくだろう。・・・真中朋久「解説」より
四六判上製
220ページ
2500円(税別)
ISBNコード
9784861985638