ポンポン船行く
歌集
第一歌集『真風(まじ)』以降の、身障の息子さんと二人で暮らす日々の歌。
現実は厳しさを増すが、浜崎さんの歌はふしぎなほどの素直さでふたりのやりとりや表情をとらえて生彩がある。周防大島の海べに育った少女がいつも歌に息づいているのを感じる。息子さんはついに亡くなるが、この歌集の中に生きつづけるのだ。・・・花山多佳子「帯」より
『ポンポン船行く』五首選
父のにほひは干草のにほひおみやげは山の畑の真桑瓜なり
目の中で赤いセロファンがビリビリとふるへるやうなさみしさにゐる
俺の目になつてくれると言つただらう、たびたび出してくる息子の切札
すみちやんのために生きてる、子の口癖ほんたうだつたと今更わかる
海境(うなさか)に四国がぼおつと見える浜むかしのやうにポンポン船行く
四六判上製
202ページ
2500円(税別)
ISBNコード
9784861985782