愛染明王
歌集
西空を彩りし雲の色消えて寄る辺なさこそ身に懐かしき
経験が時間をかけて濾過され、一滴のしずくになったような「寄る辺なさ」は、理性ではなく、「身」という具体を巡りたどり着いた一語であろう。取り換えのきかないこのような瞬間にたどり着くために私たちは歌を詠むのかもしれない。そしてまた、もう一度そこから歩き出すために。・・・竹内典子「栞」より
西風泰子さんの歌集を読み終え頁を閉じた時、彼女の愛のかたちのひたすらな光と、乱調の翳を帯びたうねるような波形が、読み手の胸をいつまでも駈け廻って止まないだろう。・・・橋爪さち子「跋」より
四六判上製
190ページ
2000円(税別)
ISBNコード
9784861985997