弓なりの海
歌集
外海のうねりに乗りて冬鳥はつるりと湾の喉(のみど)を潜る
導かれるままに海辺へ立っているような気がするから不思議だ。常住の人ならではの責任を引き受ける目が働いているからだと思う。対象をしっかり見つめている視線は柔らかなのに、強い。見慣れた風景であっても一切手抜きをしていない歌だ。
定まらず流れず葛湯のやうにゐていつしか季は水無月となる
常住するということは、たくさんの人に見守られつつ、それだけ隠れるところがないということでもあろう。人生におけるさまざまな場面での身の処し方や自身のこころとの折り合いの付け方が感じられる。・・・さいとうなおこ「跋」より
A5判変型上製
178ページ
2500円(税別)
ISBNコード
9784861984099