さうか、さうか
歌集
死に近き母の頭にわが頭よせて眠りぬ窓には満月
この集におさめられてある作品群は、一見、華やかな機知にあふれるものである。著者の作風は、明らかに中世女歌の流れの中にある。ということは、常に溌溂としていることを要求される。間もなく逝かんとしている母親の頭に、みずからの頭を寄せて眠るということは、その死に、近づけてわが身を置くということに外ならない。賑やかにしているけれど、歌の本質が寂しさにある、ということを無意識ながら著者は知っているのだと思う。・・・小見山輝「跋」より
A5判変型上製
250ページ
2500円(税別)
ISBNコード
9784861983986