柚子坊
歌集
阿呆だから人間はみ め見目ばかり言ふ柚子坊だれの子黒揚羽の子
木登りの好きな蜥蜴の子らのため植ゑておくひまはりの苗を三本
金蛇は飛蝗一匹呑み終へぬ武士の作法のごとくしづかに
身のまわりの生きものが好きな読者はこの『柚子坊』に読み耽らずにはいられない。つぎつぎと面白く楽しい生きものの歌が登場する。作者は自然豊かな鹿児島県に住んでいるが、それだけでこんな新鮮な作ができるわけではあるまい。助産師という命に関わる大切な仕事、そして自らもがんと闘ってきた体験が、生きものを見つめる眼をより深く愛情あるものにしている。もちろん「阿呆」と言いつつ人間が大好きな作者でもある。・・・伊藤一彦「帯文」より
四六判上製
188ページ
2000円(税別)
ISBNコード
9784861983603
日本歌人クラブ
九州ブロック奨励歌集