石榴の木のある家
歌集
手につくるキツネの影絵 障子ふたつ隔てた部屋に祖父は伏しいき
石榴の実井戸の傍えに爆ぜる夜を床擦れもちて死んでしまえり
「キツネの影絵」と「障子ふたつ隔てた部屋」に伏している祖父。井戸の傍に爆ぜる石榴の実と「床擦れもちて死んでしまえり」という祖父。独特の空間の感覚と、人間の存在の生々しさとをつなげる力技といってもいい。
デテールのしっかりした小説のように読ませる歌集である。「石榴の木のある家」はなくなっても、歌集のかたちで残ったことを喜びたい。・・・花山多佳子「解説」より
四六判上製
204ページ
2500円(税別)
ISBNコード
9784861983511