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これから夏の花咲く庭で

藪田智子 歌集

コンサートに幼子ぐっすり眠りたれば指揮者やさしく声掛けて去る

どこかしら温もりのあるまなざしであり、言葉が順直に着地する。作者の視線は低く、出現する他者のさまざまなおかしみ悲しみを、突き放さず取り込み融解させる。したがって作品に柔和な感じがたちこめるのである。・・・上村典子「栞」より

検査受くる朝の庭にコスモスの一輪咲きぬ今年初めての
土いじり絶対してはならぬと言うこれから夏の花咲く庭で

どの一日も役割をしっかり持つ。巻末の一連七首は「これから夏の花咲く庭で」と題され、向日性をたっぷりと湛えている。苛酷な制限のなかで、それゆえ期するところ大きい。・・・池本一郎「栞」より

事務を執る窓から見える通学路今日は遠足リュックがおどる

藪田さんの歌には、身めぐりのひとびとや自然に対するきわめてすこやかな視線がある。今という時代に、これほど天衣無縫のひたむきさに彩られた歌は、たぶん誰にでもつくれるものではないだろう。

掃除機に吸い込まるるごと雀らは一斉に枇杷の葉の中にもぐる
まだ座れぬ孫を武者人形の前に据え素早く写すこどもの日かな

飾り気のない、天然呆けぎりぎりのユーモア。詩歌にとっては枷ともなりかねない生真面目さが、むしろ美質として一首一首を成り立たせている景色に、短歌という詩型の包容力、ゆたかさを見るような思いがする。・・・大森静佳「栞」より

四六判上製
202ページ
2500円(税別)

ISBNコード
9784861983344