もう此処の人
歌集
一世とはささやかごとの積み重ね牛蒡のささがききんぴらにする
静かな歌いぶりの奥に強い意志力が感じられる。「一世とはささやかごとの積み重ね」は重たい内容をさりげなく言った印象に残る言葉だが、この上の句をうけた下の句がまた淡々としていていい。赤崎さんらしさの出た歌ではあるまいか。
物言ふも声にならざりソマリアの母は地に坐し飢うる子を抱く
赤崎さんの視野は広い。みずから子どもを育てた母親の思いが重なっている。また、戦中の体験もこれらの歌の背後にはあるはずである。・・・伊藤一彦「跋」より
A5判上製
202ページ
2500円(税別)
ISBNコード
9784861983245